ようこそ ! ヤマハソアリングクラブのHPへ (どうやって飛ぶの?)

どうやって飛ぶの?How to fly ?

お堅い話しですが、まずは原理から・・・。

翼に発生する揚力

グライダーは前に進むと、主翼には相対気流が当ります。
翼の上面は下面より膨らみが大きくなっていて、この相対気流は下面より長い距離を流れるため速度が早くなります。これにより下面より上面は気圧が低くなります。
これが揚力となり、機体を空中に持ち上げます。

では動力がないグライダーは、どうやって前に進むのか?

揚抗比図

左図のようにグライダーは、若干頭を下げて進んでいます。そうすると揚力は若干前に傾斜した状態で発生します。この揚力と重力の合力がグライダーの前進力となります
前進すると当然空気抵抗があります。これを抗力と呼び、前進力と釣り合って一定の速度で前進します。一方揚力とこの抗力の合力が重力と釣り合って空中に浮いていることができるのです。位置エネルギーを速度に変換しながら飛んでいるのです。

まだお堅い話しが続きますが、機体の構造も

グライダーの姿勢を制御する翼

姿勢を制御する三つの翼、それが主翼先端の後縁部にある補助翼:エルロン、水平尾翼の後縁部にある昇降舵:エレベータ、垂直尾翼の後縁部にある方向舵:ラダーです。エルロンは左右の傾きを、エレベータは機首の上下を、ラダーは機首の左右を制御します。



サービス名

ASK21の操縦席:操縦系と前方計器類

グライダーの操縦桿は、座席中央にあり、左右でエルロン、前後でエレベーターを操作します。つま先にはラダーペダルがあり、ラダーをコントロールします。
計器類もいたってシンプルで、基本は3つ。最上部には最も大事な対気速度計と昇降計、そして右下に気圧高度計が備えられています。

動力がないのに、どうやって離陸し上昇できるの?

グライダーが離陸するには、ウインチを使います。

 

グライダーは「ウインチ」と呼ばれる大きな糸巻き機のようなものから「鋼索=ワイヤ」を左図のように離陸地点まで延ばし、時速110~120km/hほどで曳航することで高度を取ります。
ウインチ上空まで来たらワイヤを離脱し、自由飛行で上昇気流を探します。うまくヒットすれば上昇し滞空することができますが、ヒットしなければ左場周経路を通って着陸します。
(注:航空機で曳航して離陸・高度を取る航空機曳航もありますが、浜北はウインチのみです。)

グライダーが離脱高度よりも高く上昇できるのは・・・
1.上昇気流がある

上昇気流には幾つかの種類がありますが、浜北滑空場でも最もよく発生する上昇気流はサーマルと呼ばれる「熱上昇気流」で、非常に一般的なものです。
太陽の光が地上に当たると、そこに熱が蓄積されます。するとその付近の空気は徐々に暖められ膨張して軽くなってきます。最後にはちょうどヤカンのお湯が沸騰する様に、暖められた空気は地上を離れ上昇を始めます。これが熱上昇気流です。大きさはまちまちですが、半径20~30m程の小さなものから、100m以上もある様な大きなものもあります。また上昇するスピードも千差万別で、0.1~0.5m/秒程度の弱いものから、5~6m/秒程まで強力なものもあります。
他には頻度は少ないですが、滑空場付近の連なった山の斜面に風が吹きつけ、斜面に沿って吹き上がってくるのが「斜面上昇風」です。ただ付近の山々は標高が低いので上昇気流もそれ程高くまでは吹き上げられず利用価値は今一歩と言った処で、熱上昇風へ乗り換える所までです。

2.いたずら小僧の原理 !?

しかしエンジンなどの動力を持たないグライダーは常に下向きにしか飛行できないのに、何故上昇できるのでしょうか?
その原理は、いたずら小僧が上りのエスカレーターを自分で降りているのと同じ原理です。
例えばエスカレーターが毎秒3mで上っている時、いたずら小僧は毎秒1mでしか降りて行けません。傍らで見ている親には、一生懸命降りようとしているのに、体は上へ持って行かれている姿が見えていることでしょう。この時いたずら小僧は毎秒2mで上昇しています。これがグライダーが上昇できる仕組みです。
上昇気流という大きな空気の塊の中を、実はグライダーはゆっくり降りているのです。しかし相対的に上昇していて最初にいた高度よりも高く上昇できる訳です。空気の力って凄いですね!



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